それは、卒業旅行で行ったオーストラリアで出会った熱気球の添乗員

大柄なおじさんたちの中にたった一人、おじさんたちの半分くらいなんじゃないか?というくらい小さな彼女が、力仕事である熱気球の準備や片づけを難なくこなしているのが、すごくかっこいい

気球の上からは、だだっ広い草原の中をワラビーの群れが移動している姿や、はるか向こうの山並みが見えました。オーストラリア人のおじさんが話すことを、お姉さんは日本語に訳して私たちに話してくれました。
お姉さん英語ぺらぺらなんだ、すごいなぁー、・・・と、一緒に気球に乗った友人達と感心しました。
気球はパックツアーの一環だったため、遊覧後は次のツアーのための昼食が用意されていました。
外国らしい、ボリュームのあるバーベキューです。
肉をとりわけてくれたお姉さんに、私の友人が早速話しかけ始めました。
話題はだんだんと、お姉さんが気球に乗り始めたきっかけに。
「私、OLだったんですよ。スーツ姿想像できないでしょ」と、お姉さんは着ているツナギを指差して、真っ黒に日焼けした顔で笑いました。
「毎日単調だよね、おもしろくなーい、ってね、同じ会社の友達と休暇中にオーストラリアに旅行に来たんですよ。で、ツアーの一環で気球に乗ったんです。みんなみたいに」
鉄板の上の肉を裏返しながら、お姉さんは続けます。
「そうしたら私、もうめちゃくちゃ感動してしまって。日本に帰ってからも、気球のことが頭から離れなかったんです。出会っちゃったんですね。」
気球からの景色に感動する人は大勢いますが、お姉さんがすごいのはここからんです

「それでね、私、ぜひこの仕事がしたいと思ってもう一度オーストラリアに来たんですよ」
なんでも、‘ここで働かせてほしい’と気球ツアーのオフィスに訪ねていったんだそうです。それまで力の要る作業が多いせいか男性ばかりだったスタッフは戸惑ったそうなのですが、お姉さんの熱意を受けてとりあえず短期の採用をして様子を見ることに。
結果、日本人観光客の多い気球ツアーにおいて重宝されるようになり、数年たった現在まで重宝されているのだとか。
「時期によっては私のほうがおじさんたちより忙しいかも」
と、お姉さんは笑っていました。
今度は私のほうがすっかり感動してしまいました。
友人が「Noby,来年からニュージーランドに留学するんですよ」と私のほうを指すと、お姉さんは
「いろんなことがあるだろうけど、絶対楽しいよ!自分がどう感じるかを大切にして、その上目一杯頑張ったら大抵なんでもうまくいくから!」
と励ましてくれました

私はお姉さんの名前すら知りません。でもお姉さんのくれた言葉は、今でも何かあるごとに思い出します。
がむしゃらに頑張る前に、一度自分に
自分はどう思ってる?
楽しい?
これは本当にやりたいこと?
必要なこと?
と問うクセがついたことは、私にとって大きなプラスになりました。
自分をしっかり見つめて、それで出た答えが「GO!」ならば、燃え尽きることなく、苦労もある意味楽しんで乗り越えることができるんだなあ、と、何かあるごとに感じています。
毎日単調だなあ・・・と思う方
なんだか日々に張り合いがないなあ・・・と思う方
または漠然と、このままでいいのかなあと思っている方。
もう一度、自分が本当にすてきだと思うことは何か、考えてみてください。
もしかしたらお姉さんのように、運命を感じるものに行き当たるかもしれません。
ニュージーランドにビビッときていた自分の感覚に対して半信半疑だった私を、お姉さんの言葉は後押ししてくれました。
留学2年目の今。自分の感覚は正しかったと自信が持てます。密度の濃い、充実した時間を過ごしています。
今回の記事で、私も誰かを後押しすることができればいいなと思います。
あなたが本当に、大好きなものは何ですか?

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(Noby)
「感動させよう」と目論んで感動させるのではなくて、思ったことをそのまま話して相手を感動させるような人生ってすばらしいと思います。
私もそんな人になりたいです。
そういう人生って、自分も絶対幸せですよね。
Kickoff−T様
お姉さん以外にも、この旅行では「ワラビーおじさん」というワラビー餌付けのツアーガイドをされている日本人の方とも出会いました。この方もビビッときたんだそうで、すごく嬉しそうにワラビーや、ツアーの途中に見える星空の話をされていました。
二人に共通するのは、迷いのなさと素直さだなと感じました。悩んだ末の答えだからこそ、迷いもなく、自分に素直にいられるのかなあと感じました。