昨晩は日本のビールを飲みながら、本物の土産を片手に土産話で盛り上がりました。
猫をひざにのせてお茶を飲みながら、なんだか3年近くの留学生活がまるで夢だったかのような不思議な気持ちになりました。
丸一年続けたブログも、今日が最後です。
管理人のKickoff-Tさんから「最後らしい記事をよろしく」と頼まれたものの、一体何を書いたらいいのか、フライトの間中ああでもない、こうでもないと考えあぐねていました。
飛行機と電車に揺られつつ出した結論は、
「留学は、自分の頭を使って考える最高のチャンスであるということを、留学を考えている人たちに伝えたい」
30時間近く考えましたが、結局一文におさまりました。
留学するということは、大きな決断です。
何を今さらそんなことを・・・と言われそうですが、なぜ留学するのに大きな決断が必要なのか、と考えてみた人はあまりいないのではないかと私は思います。
時間がかかるから?
お金がかかるから?
危ないから?
日本では、多くの人が当たり前のように高校・大学を卒業します。
大学に行けば、時間もお金もかかります。実際、数年留学するよりも学費や生活費が高額な大学・学部も多くあります。
実家から遠く離れて、誰も知った人がいない場所で暮らす人も多くいます。
ニュージーランドは世界でも指折りの安全な国です。
こう考えると、留学するのも大学に行くのも、あまり差がないような感じがしてきます。
ではなぜ、留学という選択肢を採る人が少ないのか。
なぜなら、留学は一種の「常識のレールから外れる行為」だからではないかと私は考えています。
日本で暮らしていると「有名大学→有名企業→立派・幸せ」という考え方に知らず知らずのうちに染まりやすい気がします。
事実私も、大学を卒業する直前まで、なぜ自分が勉強しているのかじっくり考えてみたことはありませんでした。
確かにいい大学に行きたかったし、しっかりした人生を歩みたかったけれど、なぜ自分がそう思うのか考えてみたことは一度もありませんでした。
大学生活も後半になり、おのおのが自分の思う進路に進む段になって初めて、自分が今まで‘常識’に沿いつづけ、特に意思もないまま空っぽの頭で勉強してきたことに愕然としたんです。
結局私はこの問題に対して時間内に結論を出すことができず、周りの皆に「なんで今行くの?なんで新卒なのに就職しないの?」と言われながら留学先へ向かいました。
大学を卒業した、3年前の春でした。
なぜここで留学を選んだかというと、
「常識的な進路を外れても自分がやっていけるか試してみたい」という気持ちがあったからです。
結果は、大学院入学→落第→再入学→卒業、就職。
決してスムーズではありませんでしたが、全て自分で判断して行動し、その行動に見合った結果が出て、その結果を基にして次の行動を起こす、というプロセスを、100%自分の頭で考えて行うことができました。
皆が進む一般的な進路を外れた時点で、沿っていくお手本はありません。
全ての分岐点において自分で考え、判断することが要求されます。
自分がどうしたいかじっくり考え、行動を起こし、その結果を自分で受けてきた経験は、今までものすごい時間をかけてきた受験勉強よりも、高価な服や化粧品よりも、私に自信を与えてくれました。
留学先では、私たち日本人は「外国人」です。
世間の常識は、通用しません。
「なぜあなたはこうするの?」と聞かれることもよくあります。
この質問に答えていくうちに、自分が何を考えているのか、何がしたいのかがだんだんと分かってきました。
今まで「常識だから」とよく考えることもなく行ってきたことも、この過程で浮き彫りになりました。
模範解答の丸暗記と、自分で考えて導き出した結論の区別がつくようになってきたんです。
就職氷河期と言われる今、就職活動を経験してみて思ったことがあります。
それは、「企業が必要としているのは、自分の頭で考えて問題に対処することのできる、代えのきかない人材」であるということ。
演算能力だけなら機械のほうが上だし、労働力はアルバイトでその多くがまかなえる現在、正社員採用の際に面接できかれる質問は、自分の頭を使う能力をおしはかるものが多くあります。
その面接の質問でさえ、就活攻略本に‘模範解答’が掲載されている現在の状況は、あまりよくないのではないか・・・と私は感じています。
誤解を招きそうですが、徹底的に和を乱せ、個性的であればあるほどいい!・・・というわけではありません。
協力することは大切だし、友情も大切です。ときには我慢することも必要です。
ただ、不必要に自分をねじまげて、自分の人生を模範解答内におさめる必要はない、ということです。
型にはまって居心地が悪いなら、型からはみ出して好きな方向に進んでいけばいいんです。
就活本の模範解答を読みながら、なんだか自分とはかけ離れているような、なんともいえない気持ちになった人。
友達が人の悪口を言っていてついつい同調してしまい、自己嫌悪したことのある人。
自分が勉強する意味がわからない人。
問題なく毎日を過ごしているけれど、ときどきすごい不安感に襲われる人。
もしかしたら、むりやり模範解答内におさめられた自分自身からのSOSかもしれません。
英語を学びに行くもよし、自分を探しに行くもよし、専攻の勉強をしに行くもよし。
「留学してみたい、でもなぁ・・・」と思っている方、「でもなぁ」の理由を、もう一度しっかり考えてみてください。
理由が常識から外れる恐怖心のみなのなら、ぜひ、常識の通じない外国へ飛び込んで、頭をフル回転させてみてください。
人間は通常、脳細胞の数パーセントしか使っていないといわれています。
残り90パーセント超の脳細胞には、本人すら知らない才能が山ほど眠っています。
頭を使う能力があれば、誰でも「自分の知らない自分」に出会うことができるんです。
もしかしたら新しい自分は、今は想像できないくらい素敵かもしれません。
えらそうに書きましたが、私はまだまだ頭が使えているわけではありません。
おそらく、一生かけて使い方を覚えていくと思います。
ただ、この留学が頭を使う大きなきっかけになったのはまぎれもない事実です。
知らなかった文化、バックグラウンドが違う友人達、難しかったけど役に立った勉強、英語、そして大自然。
ニュージーランドへの留学は私の頭をフル稼働させてくれ、面白い人生を送るための大きな手助けをしてくれました。

楽しかったこと、苦しかったこと、感動したこと。
いろんなことをこのブログに書きました。
どこかで誰かの脳細胞を刺激するお手伝いができていればいいな、と思います。
一年間読んでいただいて、本当にありがとうございました。


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(Noby)