彼は研究室の中でも1、2を争う忙しさの人で、ガス・気体の解析を専門としています。
彼の仕事は速くて正確。解析器具を扱う様子は職人技の域に達しています。

彼が良い仕事をするあまり、近隣の研究室がガス解析部門を閉鎖してしまうほど。
彼が超多忙なのは、それらの仕事も一手に引き受けているからなのです。
全く無駄のない彼の仕事ぶりには、学ぶべきことがたくさんあります。
そんなマンジュラさんがある日、解析装置の掃除をしながら私に話しかけてきました。
「Noby、おしんを知ってるかい?」
一瞬我が耳を疑いましたが、どうやら日本の「おしん」で間違いないようです。

マンジュラさん「日本のテレビのおしんだよ。僕はおしんが大好きなんだ。スリランカですごく人気があるんだよ」
Noby「へえ!ドラゴンボールが好きとか、ワンピースが好きって人は知ってますけど、おしんが好きな人は初めてです。なんで人気があるんですか?」
マンジュラさん「彼女がすごくHard workingなところを見ると、すごく勇気付けられるんだ」
Noby「マンジュラさんもめちゃくちゃHard workingじゃないですか」
マンジュラさん「母には負けるよ、父は僕が2歳の時に病気で亡くなったから、母はひとりで僕と兄弟を育ててくれたんだ。この話は僕がガス解析に興味を持ったきっかけでもあるんだよ」
Noby「どういうことですか?」
マンジュラさん「お医者さんに、間接的な父の病気の原因はたばこの吸いすぎだって言われたんだ。父だけじゃなく多くの人が同じような状況で、社会問題になっているんだよ。喫煙の年齢制限がないから、皆まだ小さい時にたばこを吸い始めたりするんだよね」
Noby「以前、Time誌でスリランカの3歳の男の子がタバコを吸っている写真を見て、すごく驚いた記憶があります」
マンジュラさん「それは極端な例だけど、大きな社会問題であることは確かだよ。それで、こんなに問題が多いのに人を魅了してしまうタバコの煙には何が入っているんだろうと気になったんだ」
Noby「なるほど。それで数ある解析の中でもガス解析なんですね」
マンジュラさん「そう。そういうわけでタバコがやりたかったんだけど、最初はマリファナとヘロインの解析をしたよ」
Noby「えっ?」
マンジュラさん「で、研究対象がどんなものなのか、僕も少し試してみた」
Noby「ええっ?!あれって依存性があるんじゃ・・・」
マンジュラさん「そう言われるけど、頭や体の中で何が起こっているかをきちんと理解していれば、またやろうとは思わないよ。現に僕はそれ以来一度も吸ってないし、また使ってみたいとも思わない。試した間、僕が僕じゃないようなテンションになっていたのは確かだけどね」
Noby「へえぇ・・・今は温室効果ガスの解析をされてますけど、これにも理由があるんですか?」
マンジュラさん「とってもホットなトピックじゃないか!人類は20世紀にいろんな問題の種をまいてしまったから、21世紀は問題解決のための最大の努力をしなきゃいけないと僕は思うんだよね」
そういうとマンジュラサンは、サンプルを持って解析室へ入ってゆきました。
マンジュラさんの努力のかいあって、彼の解析室は新築されることになり、最新の機材が導入される予定になっています。
研究・解析技術が学べるのももちろんですが、実際に研究に携わる人の話をきいたり、モチベーションの高い人から刺激を受けることができるのも、この職業体験の良いところだと私は思います。


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(Noby)