ただ、心残りは…うどんを最初から入れてしまったため、最後のしめのご飯が投入できなかったことです。もうお腹いっぱい胸いっぱいになっていたのでした。まだまだ‘しめがあまい’と思い知ったつい数時間前の私です。

さて気を取り直して、今回は再び「旅編」に戻ります。

「第4回Nelson → Arthur’s Pass」
Nelsonの最後の夜、旅先で出会ったオーストリア人と飲んだ後、ほとんど眠れずに早朝のバスに乗り込みました。辺りはまだ真っ暗。それでも車窓からの眺めが、暗い風景から夜が明けて、朝やけの眩しさに変化していくのがとても気持ち良く感じました。

身近にいた牛や羊にさよならをして、バスは西海岸を南下していきます。ここからは海岸線の広大な風景が広がります。途中にあるPunakaiki(別名パンケーキロック:地層がパンケーキを何層にも重ねたように見える岩が由来)に立ち寄り、自然の威力を実感。
そして、私の本日の目的である「Greymouth →Arthur’s Pass」へ、トランツアルパイン号という南島を横断する列車に乗車したのでした。
これがNZ初の列車の旅。一般的には、Christchurch から乗り、「Arthur’s Pass→ Greymouth」というルートなのですが、ひねくれものの私はその逆。しかし、これが大正解?!または大失敗?!Greymouth駅のホームにはお客さんが大勢いたのにも関わらず、いざ列車に乗り込むと、私の車両には誰一人としてお客さんがいなかったのです!!
この列車の席は全て指定席。日本で言う特急列車といった感じです。そのためここでも自分を疑うことになりました。
「チケットの車両番号と、私の見た番号が違うのかな?」
「もしかして…次の列車だったかな?」
即座に私の頭はフル回転、いえもはやオーバーヒート。
「もしかして日本人は特別扱い?」とか
「この車両だけ途中で切り離されたりするのでは…?」
と余計なことまで考えだす始末…。今考えればあり得ないことも、人間(私だけ?)窮地に立たされると、おかしなことを考えてしまうものですね。
しかし、何度見てもチケットと車両、自分の感覚機能にも異常は見当たりません。私の車両だけ、やっぱり客は私たった一人…。他の車両は…なんと「「満席」」。落ち着けるはずの静かな車両が、逆に全く落ち着きません。ソワソワと車両の端から端までを何度も行き来しては座り、また歩き…まるで群れから外れた動物が仲間を探しているかの様でした。

それでも「この状況を記念にしなくちゃ!」と思った私は、デジカメで車内の様子や、一人っきりの開放感からあらゆるポーズで写真を撮り続けたのでした。途中からは、私の好きな番組‘世界の車窓から’のテーマソングが頭の中で鳴り続け、オリジナルコメントで風景を楽しみました。「雄大な自然、山々や川、羊や牛のすぐ横を駆け抜ける車両は、まるで時間を超えて旅をしているようです。」日本の列車とは違う、景色に人や人工物が全く出てこない風景、線路が整っていないからかとても激しい揺れ、全てが新鮮でした。


そしてArthur’s Passに到着して気付いたこと。それは、このルートで乗車/下車する客が私一人だけだったから私の車両だけ貸し切り状態だった、ということ。つまりとても珍しい客の様です。
こうして、本日の宿泊地であるArthur’s Passに到着。ここは南島の内陸に位置しており、周囲が山々に囲まれて、山歩きのコーズがたくさんあるところ。拠点となる村には、いくつかの小さい宿泊私設と情報センター、他には小さな小さなコンビニ(といっても5時には閉店)が一軒。

と、ここでも事件発生!!無事に宿泊施設には着いたものの、鍵が閉まっていて入れません…。その上、辺りには人の気配もありません。
「どうしたことか??いきなり閉館??」
「私…このままこの静か〜な山々に囲まれて、野宿かしら?それはそれで良い経験か??」
オフシーズンのこの時期、観光客や山歩きの人も少なく、怖いくらいの静けさ。それもそのはず、車両に乗客が一人の時点で何かおかしい。周りに人もいないものだから聞くこともできず、入口でうろうろ…。そして発見!一枚の小さな紙とテレフォンカード。「「オーナー不在。用件はこのカードで電話を…」」といった内容。う〜ん…あり得ない。でもここはNZだからあり得る。一人ブツブツ文句を言いながらも、多少離れたところにある公衆電話まで大荷物を持って移動、そして電話。「あぁ、もう着いたのね、今行きますわ。」的な返事で、待つこと10分。こうしてようやく部屋に通してもらい一安心したのでした。

その後、ようやく山歩きに出発。と言っても、既に疲れていた私は往復1時間ほどの簡単なコース。それでも、迫力満点の滝やそこから流れるきれいな小川、時々聞こえる鳥の鳴き声、澄んだ空気などを肌で感じることができました。いつもChristchrch(私が以前住んでいたところ)から「大きいな〜」と見ていた山を、今は内部から見ている。その感覚が不思議で、中にいることがなぜか嬉しく感じたのでした。TVを見ている側が出ている側になるような感覚でしょうか??
この日、一人旅の孤独さを実感したものの、これから旅を続けることへの自信がついた一日でもありました。旅は思いがけない出来事の連続だと学び、逆に「もう何でもあり、さぁ何でも来い!!」と思える度胸が持てるようになりました。しかし、本当にたった一人の一日、たくさんの錯覚に陥り、夢を見ているような貴重な体験でした。

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(Lisa)