
さて、今日は「菊」にまつわるお話です。

私達日本人にとって、菊は葬儀を連想させる不祝儀を代表する花と言っても、過言ではないかと思います。
その一方、菊花展が毎年全国各地で開催されるほど、数多くの愛好家を持つ日本を代表する花の一つでもあります。

ここNZでも、菊は美しい花でしかありません。それは、日本人の友人がこちらで結婚式を挙げたとき、届いたウェディングケーキに「菊」がデコレーションされていたことにも象徴されております。

彼女はそれを目にしたとき、驚きで言葉を失ったそうです。幸い披露宴の準備中で、招待客の目に触れる前に、事情を説明し別の花に交換してもらえましたが。こちらに長く住み、KIWIのことも理解をしている彼女でさえ、祝儀の席に「菊」を目にしたときは、とても複雑な心境だったと、後日話してくれました。

もし、これが結婚式のために、NZを訪れたカップルの上に起こっていたらどうなっていたでしょうか?
またある日、私はチョコレートショップを訪れ、お祝いのラッピングをお願いしました。しかし、それを手渡された瞬間、私も言葉が出ませんでした。なぜなら、それは少し光沢のかかった白い包装紙に、真っ黒なサテン地のリボンが結ばれていたからです。

これも菊と同様、日本人にとって、黒は葬儀のイメージがあり、黒白のコントラストは、まさに不祝儀に用いる鯨幕を、私に連想させたからです。
結局、私は黒いリボンを付け替えて手渡しましたが、相手が知らないこととは言え、せっかくの慶事に水をさされたような、とてもやるせない気分になったことを、今でも覚えています。
このように、文化や習慣の違いによる「ほんの些細な出来事」が、時には人の心を一喜一憂させます。



「郷に入れば郷に従え」という言葉通り、NZに住んでいるのであれば、目くじらを立てず、ここの習慣を受け入れることが肝心、というのも考え方の一つでしょう。
しかしその一方で、多くの移民を受け入れ、多民族国家として歩むNZ。また、彼らの経済は、ツーリズム産業に依存する割合が大きいのも事実です。
それを考えると、サービス産業に携わる以上、異なる文化や習慣に関する最低限の知識やマナーを身に着けること、またそれに対し敬意を表することは重要な事柄だと、私は考えます。
気がつけば、今日は私の頭に咲いた一輪の菊が、四方八方に花びらを咲きほこるがごとく、話題を広げてくれました。でも、レポートのような内容ですね!?


菊の花、好きです、という方。
そんなこともあるのですね、という方。
レポートがんばってください、という方。
春ですね、という方。
クリックで応援よろしくお願いします。


(Umi)